脱藩者Interview

人生はやりたい事をやるにはあまりにも短く、我慢して生きるにはあまりにも長い ビジョナリーワーク・デザイナー鵜川洋明さん

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鵜川洋明さんプロフィール

 

株式会社ファンケルで店舗運営や経営企画、事業構築に従事する傍ら、約3年前から個人でワークショップを開催し、夢と重なる仕事=Visionary Work(ビジョナリーワーク)を提唱。昨年(2013年)夏に17年間勤務した同社を卒業し、MeRAQ COMPANY(ミラクカンパニー)を設立。キャリアデザインやブランディング、メイク関連事業を手掛ける。

JCDA認定 CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)取得

青山学院大学・ワークショップデザイナー育成プログラム修了

ブログ:http://visionarywork.sblo.jp/

自主出版:『楽・学・喜ライフワークのススメ』

 

【鵜川さんにインタビューした理由】

 鵜川さんが前職在籍中から開催していたワークショップに参加していました。どんな事をされているかは、何となく分かっていましたが、ご自身の「ビジョナリーワーク」をどのように築いたのか、会社勤めしながらどう活動を展開していたか、独立に至った経緯、等々を知りたいと思い、お話を聞かせてもらいました。(インタビュアー:中村将之)

 

 

―――独立されて数か月経ちますが、ミラクカンパニーではどんな事業を展開していますか?

 

主なサービスは、キャリアデザイン、ブランディング、メイク×フォトの3つです。メイク×フォトに関しては、妻が主体で、自分はほとんどやってないですが。具体的には、個人向けのキャリアデザインのワークショップ、ブランディングや事業構築のサポートとか、企業の研修をオーダーメイドで請け負うこともあります。まだ準備中ですが、出版や場づくりなども考えています。

 

―――「ビジョナリーワーク」の考え方はどのようなものですか?

 

一言で言えば“夢”と重なる仕事をしよう!ということです。自分が本当にやりたい事で誰かを喜ばす、人生面白い!と自信を持って言える。そんな人になってほしいという想いでやっています。

 

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―――「ビジョナリーワーク」は、具体的にはどんな手法で考えるのでしょうか?

 

 自分のやりたい事を形づくる要素は7つあります。自分らしさや提供できる価値を生かして、誰のどんなの望みを叶えますか、生まれる未来は何ですか、というのを考えます。このフレームを通して何度も繰り返し考えると明確になっていきます。

 

―――フレームはどうやって構築されましたか?

 

 キャリアカウンセリング等のベースになっている理論や、マーケティングや事業構築などの手法を掛け合わせたオリジナルです。なので、このフレーム自体はキャリアデザインだけではなく、様々な企画や事業プランづくりなどにも応用できます。

 

 

  

―――ご自身は、夢は最初から明確でしたか?

 

いえ、自分も“夢”というものに対して明確なイメージができなかった時期がありました。なんか夢っていうと漠然としているというか、リアリティがないようなイメージを持っていました。今はむしろ、“夢”っていい言葉だなって思っていますが(笑)。

 

―――前職時代は、どんな状態でしたか?

 

最初は楽しく仕事をしていましたが、ポジションが上がってくると、だんだん周囲の期待度が上がって、いつしか「これで求められていることに応えているかな」みたいな、まるで答え合わせでもしているような感覚になってしまい、あれ?本当にやりたくてやってるのかな、とモヤモヤが募ってきたんです。

 

―――変化の大きなきっかけは何だったんですか?

 

読んでいた本に「あなたは今やりたい事をやってますか?やってないとしたら何をやってますか?」という問いがあって、もう衝撃でした。俺何やってんだろう……。このままじゃまずい。自分は本当に何がやりたいんだろう、と考え始めました。

 

自分が楽しく、スイスイ苦も無くできる事を思い起こしたら、何かを体系的に整理して、ビジョンにしたり、物語にしたりとか、あと、絵にしたりとか、人にそれを伝えたりするのは、すごくワクワクするし楽しい。例えば、部下とフィードバック面談をしていて、良いところとか、担当している仕事の価値を伝えると、表情がすごく変わったり良くなったりする瞬間が大好きだったんです。

 

本当にやりたい事を見つける瞬間を作ってあげられるって、すごく楽しい。キャリアや仕事の意味づけを手伝ってあげるのは、結構面白い。そうこう考えてるうちに、キャリアカウンセリングって概念があることを知り、キャリアのことをやってみよう、となりました。事業構築とかブランディングも大好きだったので、サポートをできたら良いとも思いました。

 

―――どのように進めていったんですか?

 

会社員をやりながら、資格の勉強をしたり、仲間と一緒にワークショップ開いたりしました。結構やりたい事を公言するようにしてましたね。別に会社辞めたいって言い方じゃなくて。今こういうことをしていて、今後こういうことをやりたい、という話をすると、いろんな面白い人を紹介してもらえました。

 

言葉にして宣言するってほんと大事ですよ。引き寄せるっていうのは本当にある。本心でやりたい事を語ってるから、周りから見たら楽しそうなんでしょうね。こういう状態の人だったら、紹介していいと思われたんでしょう。当然自分の興味関心で引き合う人だから、価値観が合う。そういう仲間とワークショップを始めて、やればやるほどのめり込んでいきました。

 

―――独立するという想いは以前からありましたか?

 

それは、ありましたね。ただ、ちょっと不思議なことに、ずっとあったんだけど、本当にやりたいんだこれを!というのが見つかり色んな活動を始めたら、独立するしないはどうでもよくなってきたんです。独立するために逆算して何かを考えることは一切なくなりましたね。

 

独立するしないは手段で、やりたい事に対してどれだけ興味を持ってもらえる形にできるのか、どれだけ広められるのか、深められるのか、そのために最適な手段が独立であればそうすればいいし、そうでなければ別の方法を取ればいいという考え方になったんですね。

 

―――会社での仕事でやりたいことと重なる部分はありましたか?

 

(最後の職場となった)ファンケルスクエアでは館長をしていました。会社の広告塔の役割もあり、ブランディングも求められるところで、ともすると会社の期待に応えることが全てのような感覚になってしまうような部分もありました。けど自分は、誰かが持ってきたビジョンを、単純になぞるのは嫌でした。

 

一人一人のメンバーが自分事として楽しいと思え、価値や意義を感じられることがすごく大事。メンバーひとりひとりが自分たちの仕事の価値は何?誰に何を届けられるのっていうことを考えるミニ研修みたいなものも何度もやりました。そうすると、みんなから出てくる。

 

一方で、ファンケルスクエア全体はどうか、という話し合いも主要メンバーを集めてやりました。そして、それぞれで出てきた内容を統合する。一つのビルとしてミッション、ビジョンは整理されつつ、各メンバーは自分たちが考えたことに基づいて動く。モチベーションの高さはすごくある。そういうシチュエーションを作ることだけを考えてやっていました。それはすごく楽しかったですね。

 

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―――なるほど、ビジョンやミッションを整理してまとめ上げていくのは、やりたい事と重なっていますね。ただ、そこで転機が訪れたんですよね?

 

はい。会社の教育を一手に引き受けるセクションを作ることが決まり、そこの要職に就く内示をもらいました。人材育成や、ミッションの構築が役割で、やりたい事でした。しかし一方で、自分が本当にやりたいと思う教育や人材育成と、今この時点で会社から求められているものは少し違うんじゃないか?って思ったんですね。そう思うと、自分が本当にやりたい分野なだけに、すごくジレンマを抱えるだろうって。

 

それに、新しいセクションだから、引き受けたら多分365日24時間やるくらいの状態じゃないと無理だろう。そうすると会社とは別に仲間と活動していたプロジェクトなどもできなくなるのは間違いない。そんなことを考え合わせると、もうここは離れるタイミングなんだなぁ、と思っちゃったんですね。

 

―――すぐに決断できましたか?

 

決断は一週間も経ってないですね。ズルズルしてたらいろんな邪念が入って考えがぶれる。そうこうしているうちに、新しい組織はどんどん固まっていって、いつの間にか抜け出せなくなる。だから早い段階で決断しようと。

 

―――会社を辞めることに葛藤はありましたか?

 

んー、あったとすると、言い方悪いんですが、恩を仇で返す気かみたいな見られ方をするじゃないか、と。それは自意識過剰で勘違いなんですけどね。経営体制を大きくシフトしていく過程での異動で、しかも、ここはお前が向いてると会長から直々に言われたオファーでした。

 

もともと、期待に応えたい、認められたいという意識が強かっただけに、それにノーと言うことは、その逆のことをしているという葛藤がありましたね。ですが、辞める時にいつでも何かあったら応援するぞと言われ、円満に退職させてもらいました。それはありがたいですよ。

 

―――経済的な不安はありませんでしたか?

 

極端なことを言えば、人間いつ死ぬか変わらない。明日のことは分からない状況のなかで、今本当に情熱を傾けてやってる事が本当に楽しいという状態で生きられないことが嫌でした。裏を返せば、そういう状態で生きられれば、金なんかいくらでも入ってくる(笑)。長い目で見たら、そっちの方が自分の価値を高めるし、給与とかお金の面でも結果的に会社に残るよりも大きくなるだろうと。

 

会社とは別に個人的に小さくワークショップをやっていた経験も自分にとっては大きかったかもしれません。サラリーマンやってると、会社から給料もらうこと以外でお金を稼ぐことは難しいんじゃないかって錯覚に陥っちゃいます。自分が面白いと思い仲間とワークショップ作ったら、お金払って来てくれる人がいた。お金入るじゃん。お金を回す方法なんていくらでもあるんだ。じゃあ、これをいっぱいやれば良い。積み上げたらそれなりに生活していくだけはあるなと。

 

―――先ほども話に出ましたが、仲間というのは大きかったんでしょうね。

 

それはめちゃめちゃ大きかったですね。こういう仲間がいなかったら踏み出してなかったかもしれないですね。自分一人だったら価値を生み出せるほどのクオリティのものを作れるかという不安感はありました。他の事ができる人、違うスキルを持った人がいてくれたのは、大きかったです。

 

自分だけじゃなくて周りもチャレンジしてアクションしてる人が多かったから、そこに自分はどんな価値を提供して助けてあげられるか、と相互にやっていく。お互いが伸びていくし、結果的にそれぞれのビジネスが伸びていきます。つながりの中で仕事が生まれたりもしてます。

 

 そういう仲間たちと、世の中の既存の大きな流れに対して、本当に大事なものを大事にして、楽しく生きていく。それでいて価値も生んで、経済的にも精神的にも潤っている姿を見せることが一番インパクトのあることだと思ってやってます。

 

―――今日はお時間いただき、ありがとうございました。

 

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【インタビューの感想】

 率直な感想として、すごく良い話が聞けたなぁ、という感じです。何度かお会いして知っている事もあったのですが、その奥にある想いやストーリーをじっくり聞くことができ、自分のなかでの深まり度合いが大きかった気がします。一度きりの人生、本当に大切なものは何か、周囲に惑わされることなく追求することが何よりだと思いました。(インタビュアー:中村将之)

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Posted on 2014-01-14 | Posted in 脱藩者Interview | Comments Closed

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