脱藩者Interview

「不確かな未来を愉しむ」自由大学 学長 和泉里佳さん

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和泉里佳さんプロフィール 

自由大学学長/学びのキュレーター

京都大学卒業後、大手機械メーカーにて営業職に携わる。退職後、自由大学の前身であるスクーリングパッドでの出会いをきっかけに、上海でインテリアデザイン事務所の立ち上げにかかわる。2009年の自由大学の立ち上げからサポートに加わり、2011年には学長に就任。時代が求める様々なテーマで100種類以上の講義を展開。これまでに、延べ4000人が参加する学びのプラットフォームの原動力となり活躍中。

 

和泉さんにインタビューした理由

自分らしく生きるってどういうことなんだろう。就職に苦しむ人が大勢いる日本で、そんな生き方ができるのだろうか。そう思って参加した脱藩学で気づいたのは、「自分らしさの源は好奇心だ」ということでした。与えられたものではなく、自分で選択肢を創り出す人生を歩んでいるお手本はいないかと探していたところ、運良く紹介していただいたのが和泉さんでした。自由大学の先頭に立ってご活躍されている和泉さんの、これまでの生き方や脱藩のきっかけ、個性派ぞろいの自由大学をマネジメントする秘訣を探るため、インタビューに行ってきました。

 

<仕事・自分への“違和感”>

 Q:まず、会社員を辞めて中国に行った経緯をお聞かせください。 

大学を卒業して、特に何も考えずに就職したんですよね。コンピューターの事業部に配属されて営業職を担当し、仕事にはそれなりにやりがいもあったのですが、目指したい大人が見つからない、なりたい自分が見えない状況に入社2年目くらいから悩みはじめて。

 


悩みを同期の友人に相談したりして、「大企業=幸せ」が必ずしも絶対ではないと確信しました。この頃から、とにかく手に職をつけようと思って、もともと興味のあった建築士と、インテリアコーディネーターの資格勉強をするようになりました。勉強の甲斐あって資格は取れたんですけど、資格があるから何なんだ、意味があるのかと、結局は自問自答の繰り返しでした。

 



そんな時に自由大学の母体ともなっているスクーリングパッドに出会ったんです。今も自由大学の運営でお世話になっている黒崎さんともここで知り合いました。ゲストの有名アパレルのデザイナーとか、カッコいいレストラン作ってる人と話しているうちに、「私ももっと自由に生きられるかも!」って思って。そこで丁度、上海への誘いを受けたので、即決しました。

 

 <人との違いの“オイシサ”を感じた中国での体験>

Q:上海に行ってみて感じたこと、気づいたことをお聞かせください。 

まず現地の人と自分の基本的な考え方とか、いわゆる文化の違いに驚きました。壁の仕上げひとつとっても、上っ面だけで済ましちゃったり。見えないところもきちっとやるのが当たり前の日本では感じないことでした。

和泉さん_上海

 

でも、違うからこそ生まれるアイデアもあって。振り返ってみると、中国人と日本人を同じように考えるんじゃなくて、違いがあるからこそ面白かったんだと思います。この時に気づいた、人と違うことは面白いネタの宝庫なんだっていう価値観は今も大切にしています。

 

<“打算は敵である”個性派揃いの自由大学をマネジメントする秘訣>

Q:自由大学の学長として、講義を作るうえで大切にしていることや、ものごとを判断するときの軸があれば教えてください。

 

自由大学は学びたいことを講義として形にできる空間です。だから、やりたいことがある人はどんどんやる。みんなにイイコトは気づいた人がどんどんやる。そうやって仕事を創っていくことを実践しています。

 

運営で一番に心がけているのは、自由でいること。年齢とか立場に関係なく人と付き合っていく、対等に接していくことです。年上だからへりくだるとかなく、きちんとリスペクトしながらも、お互いにしっかりと役割を果たす。打算ではなく好奇心をに基づいて交流していく。クリエイティブな学びを作るには、これが大切だと思います。

 


恋は落ちるものって言うじゃないですか。面白いものはむりくり作るんじゃなくて、それこそ、瞬間的に湧いてくるもんだと思うのです。ふとした出会いを大切にしたり、お金とか関係なく目の前のことに集中した結果生まれるものだと思っています。

 

Q:和泉さんが一緒に働きたいと思う人ってどんな人ですか。

なんでも面白がれちゃう人。あとは、自分の意見がはっきりしている人ですね。何が良くて悪いか、自分のなかの美意識がはっきりしている人だと、本気で意見を出し合えるし、面白いアイデアが生まれやすいです。

 

なので、基本的な価値観は同じだけど、バックグラウンドとか、スキル、性格、経験が違う人が教授になることが多いです。プロジェクトや仕事で面白いものを生み出すには、色々な経験を持った人が集まった方が絶対に楽しいものが生まれるし、価値観を共有できていれば、講義で何を目指すのか、ゴールを設定しやすいですしね。

 

 Q:自由大学の講義は、教授、キュレーターの2人と10~20名程度の生徒が集まって進められていますが、少人数講義には理由があるのですか。

自由大学の講義の大きな特徴の一つが、来る人によって講義内容が変わること。クラスのメンバーやその日の雰囲気によってガラッと変わる。ライブみたいなものですね。だからこそ面白いし。ここに集まる意味がある。一人ひとりと深くコミュニケーションしていくにはこれくらいがちょうどいい人数なんですよね。

 


あと、ちょっと面白くてけっこう熱心な人たちと一緒に学びたいから、そこは苦労しながらもコツコツやってます。広告とか宣伝のようなことはずっとやってきていないんです。だから最初の頃は人が集まらなくて開講できない講義もちょくちょくありました。今でも時々ありますけどね。

こうやって小さくやっているけれど、友達に聞いたり、偶然見つけたりしてここに辿り着いて来てくれる人って、感性が鋭くて行動力もあるでしょ。だからクラスも面白くなるんです。大規模広告を見ていきなり大勢の人が押し寄せるっていうよりも、漢方のようにじんわり効く。そっちの方がいいでしょ。

 

 Q:仕事と家庭のバランスがなにかと話題になる世の中ですが、その辺の線引きはどのようにしてますか。

基本的に欲張りなので、やりたいことは全部やりたい。だから、家庭と仕事を明確に分けようとはしていなくて、粘土のように、うまく混ぜられないかを実践中です。家で主人といるときも仕事の話をよくします。主人は大企業でメジャー、私はインディーズバンドみたいな感じなんですけど、仕事の課題や方向性の話が意外に合って、盛り上がるんですよ。

 

<不確かな未来を楽しむ> 

Q:最後に自由大学、そしてご自身の今後の展望についてお聞かせください。


見えている部分では、まず自由大学でメディアを立ち上げたいと考えています。コンテンツとして※フリユニラジオ、Webマガジンで教授、キュレーター、生徒を紹介したら面白いかなと。それ以外は…どうなるかわからないですね。

※WEBマガジン「フリユニラジオ」は2013年2月10日にスタートしました。


でも、方向性だけ決めて、あとは変化する状況に合わせる価値観は変わりません。「人がああ言ったから」ではなくて、自分の体験とか直感を大切にしていきたい。
もちろん、最低限のことは無視はできないですけど「この人となら何か出来るかも!」ていう成り行きに任せて仕事していきたいです。

なので、今後は、たとえ仕事場が移動しても、それはそれでウェルカム。もし上海に行ったら上海で仕事を創っていきたいです。現地で自由大学みたいなこともできるかもしれないし。自分の直感と感性を信じて、先が見えない状況を楽しんで行きたいと思ってます。

 

■ インタビューを終えて

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インタビューしたメンバー。
左から磯野、遠藤、和泉さん、柳場、鈴木、跡部

■遠藤

今回のインタビューでいちばん心に刺さったのは、グレーゾーンを怖がらない勇気の大切さ。打算や世間体に縛られない生き方・働き方は、自分のやりたいことと仕事の間で悩んでいる人たちのお手本だと思いました。仕事でも生活でも先が見えにくい世の中では、和泉さんのように不確かな未来を怖がらず、走りながら考える柔軟さ、力強さが必要だと感じました。

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